ダンスホールは踊らない

3種類の人間がいる。ダンスホールに一緒に行った人と踊る人間、ダンスホールにいる人と踊る人間、そして、ダンスホールで踊らない人間だ。ぼくはダンスホールには行かない。

FIFAとユダと汚職と銀貨

十二使徒のユダは、イエスを銀貨30枚で売り、裏切り者になった。銀貨30枚がどれほどの価値か論じることはできるだろうが重要なのは、イエスの価値はたった銀貨30枚程度であるという侮蔑の意味合いを使徒のユダに伝えることだったと言われている。

国際サッカー連盟(FIFA)がワールドカップの開催地を決める投票において、幹部の複数人が票を売って金銭を受け取っていたことを認めた。1998年フランス大会と2010年南アフリカ大会の招致活動の際の汚職がそれに該当し、金銭の総額は最低でも数千万米ドルという試算も出ている。それだけでなく、2002年日韓大会、2006年ドイツ大会についても疑惑を指摘されている。

国連加盟国よりもその加盟数が多いとされるFIFAをはじめ、英プレミアリーグでは2016年から3シーズンの放映権が1兆円以上で契約締結され、中国クラブによるワールドクラスの選手の爆買など、人気の反面、世界規模での利権の争奪戦がたびたび問題に挙がる。うしろ2つは資本主義における正当な取引だが、芝の上でどんなに素晴らしい試合が繰り広げられようとも、ピッチの外が利権に塗れ真っ黒であったならば、観客席から見える光景は美しいと言えるのだろうか。

イエスを売ったユダは自責の念から、銀貨はすべて投げ打ち、自殺してしまった。ワールドカップを売った人物はすでにFIFAにはいなく、FIFAはその人物に”銀”の返還を求めているという。世界最大のスポーツの祭典は本来の姿、そして権威を取り戻すことができるのだろうか。奇跡は起きず、ユダの師事した人物は戻ることはなかった。