ダンスホールは踊らない

3種類の人間がいる。ダンスホールに一緒に行った人と踊る人間、ダンスホールにいる人と踊る人間、そして、ダンスホールで踊らない人間だ。ぼくはダンスホールには行かない。

ミッションインポッシブルに学ぶ、イーサンホークのリーダー論

ミッション:インポッシブルが本当に大好きだ。1996年に公開されたこの映画は今なお続くシリーズとしてヒットを続けている。主演のトム・クルーズが自らプロデューサーも兼ねた初めての作品で、ヒットの要因はいろいろあるがトム演じるイーサン・ハントのキャラクターが最大のものになるだろう。イーサン・ハントは本当に素晴らしいリーダーで、いつも自らが先頭に立ち、チームを鼓舞する。誰もが嫌がる仕事を厭わず、自分が1番きつい仕事を担当する。きっと彼が現実にいたら、企画書とかも進んで書いてくれるだろう。以下に、彼の素晴らしいリーダーとしての素質を書き並べる。これを読めば、きっとあなたも明日からエージェントハントだ。 

全力を尽くす

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絶対なんて言葉はない。不可能なんてない。飛行機もマジで外側から全力で掴めば大丈夫。絶対に諦めない。

全力で急ぐ

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砂嵐が迫っていてもダッシュ。

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地下に爆弾が仕掛けられている、ダッシュだ。

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戦闘機からミサイルで狙われている。そう、ダッシュだ。

マジでダッシュする。イーサンのダッシュはほんとすごい。急いでいるときは、急いでいるんだぜ、というアピールをすることで解決に近づくこともある。これくらいダッシュすれば、だいたいの人がわかってくれるだろう。

部下のミスを決して責めない

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 責めている時間などあるはずもない。戦況は刻一刻と変わるのだ。そんな時間があったら、次の手を打つべし。仕事をしていれば、部下が致し方ないとはいえ、若干私怨にかられて重要参考人である敵スパイをブルジュ・ハリファの(たしか)118階から後ろ回し蹴りで蹴り落とすなんてこともあるだろう。核爆弾がマジで発射されるかもという後がない状況にチームはお互いに責任のなすりつけ合いで罵倒し始めるが、トムは彼女を決して責めず、次の手を打つのであった。

臨機応変

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誰にも気づかれないように、静かに、超偉い人が2人のテロリストから銃で狙われている。しかも1人は美人だ(彼女を傷つけるなんてできないに決まっている)。さらに劇場だからすべてを静かに完遂しなければならない。こんな状況で超偉い人を救うには、あなたならどうするだろう。イーサンだったらどうするか。超偉い人を銃撃するのだ。超偉い人に軽傷を負わせることで、超偉い人の周りのSPにも危険を察知させ、テロリストの注意を自分に向けさせ超偉い人の命を救った。大事の前の小事。圧倒的な実力から繰り出す自信に満ちた一撃を、あえて偉い人にかます、そんな決断が迫られるときもあるかもしれない。

女性に優しい

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  女性は打たないし、何があっても守る。妻の安全と幸せを願って遠くから見守っている。

文句を言わない

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  どんな困難にも文句を言わないで遂行する。仕事をやっていれば、無責任なチームメイトに出会うこともあるだろう。知らないとか担当じゃないとかいった理由で、作業を放棄するやつが出てくる。スパイをやっていれば、当然ブルジュ・ハリファの外に出て、コンピュータールームに進入するために外壁を登らなければならないときもある。チームメイトが「おれはコンピューター係だしー」とか「おれはその担当じゃないしー」とか言って、ぼくはそれできません的なことを言い始めたとき、イーサンは黙って仕事に着手し、そして達成した。

自分の信じた道を行く

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組織が解散させられるとしても、なにもわかっていない上司の言うことは聞かない。

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上司ごと店を爆破して脱出だ。

上司からの命令ではなく、自分の正しいと思ったことに正直に。いやな上司のよくわからん命令は、本当に聞く価値があるのだろうか。戻ってこいと言われても、絶対に戻らない。達成するまでは。

スケジュールを守る

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デッド(ライン)っていつですか?とか聞かれることがある。聞いてくるやつに限って守らない。イーサンは違う。イーサンのデッドラインはマジで守らないと死んでしまう。イーサンがチームを信頼し、また、チームもイーサンを信頼している。ギリギリのスケジュールでもいつも成功する。スケジュールを守るためには、時短でこれくらい(100m)のところから飛び降りなければならない時もあるし、実際にイーサンはここから飛び降りてしまう。 

義理に厚い

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牢屋からでお世話になった情報屋も、脱出するとき一緒に連れて行ってあげる。世話になったらきっちり返す。 

チームを大事にする

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誰も殺させない。たとえ、爆弾ぐるぐる巻きの仲間も絶対に見捨てない。「立てないー」とか言ってる部下がいたらアドレナリン注射して、やらせる。チームから脱落者は出させない。

パット・ライリーとクックパッド〜ダンスはパーティに連れて行ってくれた人と踊るべきなのか〜

NBAロサンゼルス・レイカーズニューヨーク・ニックスそしてマイアミ・ヒートと異なる三つのチームで最優秀監督賞を受賞した唯一の人物に、パット・ライリーという人がいる。監督として有能なのはもちろん選手としても、1967年のNBAドラフト全体7位でサンディエゴ・ロケッツに指名を受けるばかりでなく、同年のNFLドラフトでもダラス・カウボーイズから12巡で指名を受けるというアスリートだったそうだ。

場面は1994年、同氏がヘッドコーチを務るニューヨーク・ニックスNBAファイナルまで勝ち進み、ヒューストン・ロケッツと第7戦(プレーオフは先に4勝したチームの勝ちなので、つまり最終戦)までもつれる熱戦を繰り広げていた。”ショータイム”と称されたレイカーズでのオフェンシブなイメージが強いが、実はディフェンスを非常に重要視する監督で、ニックスは強烈なディフェンスでレジー・ミラーペイサーズ、(マイケル・ジョーダン不在とはいえ前年覇者の)ブルズを退けて決勝の舞台までたどり着いた。功労者として、大黒柱のパトリック・ユーイングの活躍はもちろん、ジョン・スタークスの名前が挙げられる。

ジョン・スタークスは熱い選手だ。学生時代は奨学金とアルバイトでオクラホマ州立大に通い、ドラフトから漏れたため、マイナーリーグからそのキャリアをスタートさせた。拾ってくれたニックスに忠誠を誓い、勝利に対する執念を全面に出した激しいディフェンスで、ファンから非常に愛された。前年のプレーオフでも、マイケル・ジョーダンとのマッチアップで互角の戦いを演じたこのシューティングガードは、ファイナルまでの道のりで、何度もチームを窮地から救った。しかし一転、ファイナルでは絶不調に陥る。ことごとくシュートは外れ、最終戦を落とし優勝をロケッツに譲った戦犯として、スタークスはメディアからの批判の矢面に立たされる。

当然、ライリーも同様にメディアからの批判の対象となった。不調のスタークスを起用し続けたからだ。「なぜ絶不調だったスタークスを使い続けたのか」という問いに、ニックスのヘッドコーチはこう答えた。「ダンスはパーティに連れて行ってくれた人と踊るものさ」

先日、クックパッドの創業者で大株主の佐野陽光取締役の解任報道で、界隈に衝撃が走った。よくある話で片付けてしまえばそれまでだが、世界一有名な話になると、スティーブ・ジョブズの解任から復帰、そして史上最も企業価値のある企業まで上り詰めたサクセス・ストーリーだろう。両者とも、パーティに連れて行ってくれた人とは違う人と踊る決断をしたことになる。

先日オスカーを初受賞したレオナルド・ディカプリオの大好きな映画に、ウルフ・オブ・ウォールストリートというものがる。マーティン・スコセッシ監督とのゴールデンコンビが織りなす5回目の作品で、第86回アカデミー賞において作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、脚色賞の6部門にノミネートされ高い評価を受けた。ディカプリオの狂気に満ちた演技、妖艶なマーゴット・ロビー(なんてことだろう、驚くべきことに彼女はこのとき23歳)、金に塗れ狂っていく人々、カニエ・ウエストの曲がリズムよくかかるトレイラーまでもが最高だった。劇中、ジョーダン・ベルフォートという実際の人物を演じたディカプリオは、創業時の腐れ縁だった会社の経営陣との関係、悪事を断てずに結局はFBIに逮捕されてしまう。

企業として、株主として、単純にその人自身として、”誰とダンスを踊るべきなのか”という選択を迫られるときもあると思う。ぼくはパーティに連れて行ってくれた人とずっと踊っていたいと思う。

紹介を紹介する

なにかお願いされたら、あなたはどうするだろうか。重要なのは、その”お願い”に対し、あなたが何かしらの解決策や答えを示すことができるかではなく、「それを持っていないときにどうするか」だとつくづく思わされた。

今日、新しいお仕事の相談を受けた。少し複雑になるが関係者はぼくを含めて4人(社)いて、まず発注者であるAに”お願い”があるようで、Bに相談を持ちかけたそうだ。BはCにその願いに答えられるか聞き、さらにCがBおよびAの願いをぼくに求めた。BとCはそれぞれAとBを紹介だけして、いい仕事になるといいですねとだけ言って、颯爽と次の仕事に取り掛かっていた。

有名な話だが百貨店で”ないもの”について客から質問があった際、「ありません」という答えではなく「当店にはありませんが、〇〇(他の百貨店もしくはお店)にはあります」と対応する教育を受けるという。

ぼくはいまIT業界に半分くらい身を置いていて、毎度驚かされることばかりだが、本当に良くないと思うことがある。多重下請けだ。ここ2年くらいの間に見た中で最大のものでは、発注者と実際の実行部隊の間に5社入っていた案件があった。その案件はお断りしたが、本当に信じがたい光景だった。管理を管理するというのは、本当に成り立つのだろうかはなはだ疑問だが、絶妙なバランス、もしくはバランスが取れていない状態でバランスが取れているのだろう。

前の業界では、自分ができないことはその解決策を持っている人を紹介だけして、手数料を取るという習慣はなかった。今回のお仕事はぼくにとってみれば、紹介の紹介の紹介で、発注者のAのことはまったく知らなかった。BもCもそれぞれ、Aのため、Bのためと思って無料でぼくを紹介してくれた。「情けは人のためならず」というがこういう行いは必ず自分の元に帰ってくるし、実際に今まで何度もそんな場面に遭遇した。本当に人のためを思っているなら、本当は持っていない5社と持っている1社という奇妙な関係には絶対にならないはずだ。あー紹介しますよーと気軽に、そして颯爽に言いたいものだ。

鼻にワセリン

SNSを中心に話題になり、花粉症対策として鼻の中にワセリンを塗ると症状が軽くなるといって、今シーズンのトレンドになっているそうだ。ばくも花粉症からの寵愛を受けて10年以上が経つが、手を替え品を替え、毎年新しいことを試しているし花粉症とはいつまでも変わらずあの頃のフレッシュなままだ。

インターネットが発達し、SNSバイラルメディアで広まる生活の知恵やライフハックは、ぼくの小さいころはおばあちゃんの知恵としてネットからではなく、祖母から直接手ほどきを受けた。風邪をひいたら生姜を飲みなさい、喉を痛めたらネギを貼りなさい(祖母がネギの青いところを手ぬぐいで巻いている姿が可愛らしかったが、これをやるのだけは断固拒否していた)、湯冷めするからなにか着なさいなどなど。当時は素直に聞き入れられなかったことも多かった。
また食べ物の意外な組み合わせやお手軽料理、ちょい足し(ほんのちょっとのアレンジ)もSNSでよく見かける。卵ばかりだが、黄身の醤油たまり漬けや、アボカドの種を抜いたところに卵を落としてチーズをかけてオーブンで焼く料理は実際にやってみて、シンプルながら非常においしかった。
おそらく、おばあちゃんは違うもので代用できるのを知っているだろうが、レンジでレモンをチンすると汚れが落ちやすくなる。これも何かの記事で最近見たのだが、本当にびっくりするほどきれいになった。

FIFAとユダと汚職と銀貨

十二使徒のユダは、イエスを銀貨30枚で売り、裏切り者になった。銀貨30枚がどれほどの価値か論じることはできるだろうが重要なのは、イエスの価値はたった銀貨30枚程度であるという侮蔑の意味合いを使徒のユダに伝えることだったと言われている。

国際サッカー連盟(FIFA)がワールドカップの開催地を決める投票において、幹部の複数人が票を売って金銭を受け取っていたことを認めた。1998年フランス大会と2010年南アフリカ大会の招致活動の際の汚職がそれに該当し、金銭の総額は最低でも数千万米ドルという試算も出ている。それだけでなく、2002年日韓大会、2006年ドイツ大会についても疑惑を指摘されている。

国連加盟国よりもその加盟数が多いとされるFIFAをはじめ、英プレミアリーグでは2016年から3シーズンの放映権が1兆円以上で契約締結され、中国クラブによるワールドクラスの選手の爆買など、人気の反面、世界規模での利権の争奪戦がたびたび問題に挙がる。うしろ2つは資本主義における正当な取引だが、芝の上でどんなに素晴らしい試合が繰り広げられようとも、ピッチの外が利権に塗れ真っ黒であったならば、観客席から見える光景は美しいと言えるのだろうか。

イエスを売ったユダは自責の念から、銀貨はすべて投げ打ち、自殺してしまった。ワールドカップを売った人物はすでにFIFAにはいなく、FIFAはその人物に”銀”の返還を求めているという。世界最大のスポーツの祭典は本来の姿、そして権威を取り戻すことができるのだろうか。奇跡は起きず、ユダの師事した人物は戻ることはなかった。

コアラの殺処分問題がオーストラリアで出てるけど、たとえば誰かひとりの命と引き換えに世界を救えるとき、ぼくらはどうすればいいのか

コアラを殺処分したほうが全体の種のためだ。そんな論争が起きるくらい大変なことがコアラに起きているらしい。

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大胆にざっくり言うと、オーストラリアに生息しているコアラにクラミジアが大流行していて、数年先を見越した時に、このままクラミジアの蔓延と戦いつつ収まるのを待つより、クラミジアにかかってしまったコアラを殺処分したほうが、種として現状より繁栄しているっぽいということです。

クラミジアが本当にやばすぎて、安楽死させてあげたほうがいいのではという意見も出るくらいマジ痛いらしい。

コアラを襲っているクラミジアは、人間が感染するクラミジアとは別の種類―ただし、感染したコアラの尿から人間も感染する危険性がありますが―で、コアラが感染するとその症状は深刻で、視力喪失不妊、そしてダーティー・テールと呼ばれる症状を引き起こします。

 

「ダーティー・テールは本当に悲惨です」とバーネット研究所の感染病博士のDavid Wilson氏。「尿道が炎症を起こして、非常に大きく腫れてしまいます。これは激痛を伴い、多くは膿を出しながら死んでしまいます。

出典:GIZMODE

 これは本当に難しい。「いやふつうに考えて殺処分したほうがいいでしょ。それが種のためなんだし」みたいなことを言えるのは、言ってる人がコアラじゃなくて、違う種で、たとえばそれが人間だからだ。コアラがもし自分たちで自分たちの未来を決定できるならば、延々に決まらないだろうし、おそらく業を煮やした武闘派のコアラグループが完全防備の防護服にガスマスク姿で大殺戮を始めるのではないだろうか。そして行き過ぎた暴力は権力としても巨大になっていき、感染していないコアラにまで手にかけるようになっていき、きっと武闘派グループと感染者は死んでも守るグループの真っ二つにオーストラリアは分かれるはずだ。そしてちょうど両者の抗争が落ち着くか落ち着かないか、きっと感染者は死んでも守るグループのNo.2のコアラが武闘派グループに囲まれてピンチのタイミングくらいだろうか。多対1の戦いとはいえ、感染者は死んでも守るグループのNo.2のコアラはその腕に自信があったし、おそらくこのピンチもなんとか切り抜けるだろうと思われていた矢先、みんなには隠していたが、実は自身もクラミジアの感染者で、2~3匹まで残して敵を倒したときにゴフッと血を吐いてしまう。へっへっへ、まさかあんたも感染者だったとはなぁ、とかさっきまであーもう終わったみたいな顔していた敵が急にニヤニヤしはじめ、No.2をいたぶりはじめるんだろう。楽にしてやるよ、じゃあな、とか言いながら、No.2に斧的な武器を振りかぶったタイミングで、No.2の右腕のすごい信頼できるやつがすごい速さで登場して、その武器を折ってしまう。そんな馬鹿な、右腕、お前クラミジアで死にそうだったじゃないか・・・。No.2さん、助けにきました!ワクチンが!ワクチンがついにできたんですよ!といい、倒れているNo.2を抱き起こし、血と汚れにまみれた腕にブスっとカッコいい注射器(ちゅーって押し出すところがなくて刺すとなんか液体が勝手に体内に流れ出すタイプのやつ)を刺すと、効果が現れ始めたのか、No.2はゆっくりと体を起こす。それと同時に、No.2は新しい力も感じはじめていた。そう、クラミジアの感染を乗り越えたことで、ユーカリ以外も食べられるという力が。新たな力を手に入れた死んでも守るグループのコアラは、劣勢だった戦況をひっくり返し、武闘派制覇を攻略し、そしてオーストラリアに平和が戻るのであった。

本当に書きたかったのは、誰かの命と引き換えに世界を救える話とか、命の尊厳の話だったり、自分は死ぬけど家族を守るとか、アメコミのWATCH MENとかミリオンダラー・ベイビーとかブレイキング・バッド とかの話だったけど、コアラの話を書いてるうちに時間がきてしまったので、ここで筆をおきます。

あと中学生のときに聞いたMr.ChildrenのHEROには衝撃を受けた。

 

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人間は2種類に分けられる。コンビニで2L100円の水を買うか1L170円くらいの水を買うか悩む者と、そもそも2L100円とかで売っているのを知らない者だ。

打ち合わせの空き時間が長く、作業が3時間くらいできる場合は、2LのペットボトルをPCの横に置いて作業することが多い。1日2Lの水を飲むと、健康に良いらしいからだ。飲みにくいけどがまんして飲む。

コワーキングスペースや知り合いの会社で2Lペットボトル片手に作業を始めると決まって「それ多くない?」とか「そんな水飲むの?」とか聞かれる。

飲めるのだ。人間は意外と2Lの水くらい簡単に飲めるのだ。飲めるのだけど、いまはそんなことは問題じゃない。

おそらく、「それ多くない?」とか「そんな水飲むの?」とか聞いてくる人は普段コンビニとかで水を買わない人のような気がする。いまコンビニとかでは、2L入りのペットボトルが100円で売っている。これは本当にすごいことだと思う。

ぼくがいちから、富士山の周辺から湧き出ている水を調達し、2Lのペットボトルをつくって零さないようにギリギリまで入れて栓をして配送したらとんでもないおコストがかかりそうだけど、それを100円でやってしまうのだ。これは本当にすごい。

かたや、1L?くらいの水があるのはご存知だろうか。おそらく、コーラとかお~いお茶とかアクエリアスの平べったいタイプのペットボトルに入ってるやつと同じくらいの分量のやつだ。あれを見かけたことがある人は多いと思うが、それの水のやつの値段を知っている人はいるだろうか。2Lが100円、1Lくらいのやつはさていくらでしょう。

答えは170円。この話を人にすると、そもそも「2Lのペットボトルが100円で売ってるわけない」「そんなわけない。絶対に。」「水を買うやつの気が知れない」とかの返答になって、1Lくらいのやつの話にならない。ウソだと思う人は帰りにちょっと見てみて欲しい。でもぼくが言いたいのはそこではなくて、2Lが100円で売っているのに、1Lになると170円に上がることについてだ。

信じられるだろうか。量は減っているのに、金額は上がっている。量は減らして価格は上げるなんて超一流の営業マンでも相当タフな交渉になりそうだが、水は超すごい。どっちも超売れる。

あと水は地球上で唯一、3個の顔を持つ物質で、液体、気体、個体にそれぞれ変わることができる。ダイヤモンドも切れる。柔よく剛を制すという言葉の体現者なのである。水はほんとにすごい。

さて話は水を売ることに戻って、ぼくは、ちょっと飲みたい時でも必ず2L買うし、またその逆で、ちょっとでかすぎるから1L推奨の人もいるのだろう。

これは要は、ちょっと違うんだけど(ちがうんかーいと独り言を言いつつ)よく出てくるやつに似た例で、新聞におまけをつける話と一緒だと思う。新聞が4,000円で売っていて、電子版だと2,000円、でも新聞+電子版も4,000円ですよ、みたいなやつ。えっ!新聞半額にしてくれんの!?って言ってぼくはすぐ飛びついてしまうけど、そんなテンションで、新聞+電子版を選ぶ人がほとんどで、電子版がちょっと、新聞だけの人は当然いなくなる。だが選択を、新聞か電子版の2択に質問を絞った場合、意見が分かれるところだろうが安い方の選択肢を選ぶ人が当然多くなる。新聞+電子版という第3の選択肢を加えたことで、通常選ばれていなかった、商品を売ることができるというわけだ。実は、新聞の本来の値段も2,000円かもしれないにもかかわらずだ。

つまり、2Lのペットボトルが100円、1Lのペットボトルが50円(量がすくないんだから当然の価格設定だしぼくだったら普通にそうしちゃいそうだけど)だった場合、供給側は別にどっちを売っても変わらないし、お客さんは1Lを買う人の方が多いんじゃないだろうか。どっちを買っても値段は変わらないからね。でも少ない方の価格を上げて170円にすると、供給側の利益は増えるし、お客さんは別に離れていかずに、両方を同じくらい買う。いやーコンビニ本当に深い。マジ深いわーと言いながら、さっきも100円の方を買った。